『君の名は』:地上波初放送に見る、凄まじい本気度

映画随想録

『君の名は』は、3年前、公開初日に観て充分に楽しんだ。

個人的な嗜好として

頭を使わずにぼーっと見ても楽しめて

真意や狙いを探りながら、頭を使って観ても楽しめる

1粒で2度おいしい、エンタメ性と作家性のバランスに優れた映画が

ストライクゾーンのど真ん中だ。

例えば、是枝監督作の『花よりもなほ』は、それにあたる。

『君の名は』も同様で、青春アニメとしてぼんやり見ても面白いし

3.11に対するアニメ的・SF的な

希望で立ち向かうメッセージを受け取っても面白い。

たまたま、地上波初放送というので、久しぶりに観てみたが

やっぱりアニメとして、映画として、完成されている。すごく面白い。

以下、雑感。

・テンポ、物語、作画、演技、と申し分ない

・新海誠と言えば、きれいな背景。そして時間軸のズレ

・映画とRADWIMPSとの完全連動がやっぱり気持ちいい

・神木の演技が上手い

・長澤まさみの演技が、めちゃくちゃ上手くて、二度目でも驚く

・地上波で、エンドロールまで流したことに、強いこだわりを感じた。素晴らしい

加えて、何より驚愕したのが

この地上波発放送&7月の新作『天気の子』公開に合わせた

専用CMの数々だ。

この1回限りのために、神木と上白石の新録もしているし

日清食品、サントリー、ロッテ、ソフトバンク、バイトル、ミサワホームと

総力をあげて、『君の名は』と『天気の子』を盛り立てている。

(あとZ会も)

(『天気の子』製作委員会のメンバーかな?)

観ていて、こっちの方に度肝を抜かれた。凄すぎる。

そして、どの広告もアニメの雰囲気を崩さず、邪魔にならず、整えられている。

各社の広告担当が、どれだけ心血を注いだかが、見えるようだった。

各社、Twitterでのバズり方を測定し、ガッツボーズしていることだろう。

テレビCMだけでなく、新聞広告も素晴らしかった。

両面、カラー、全面広告で

片面には1人ずつ配置されており、光にあてて透かして見ると

2人が出会っているように見える。

紙媒体、新聞というメディアの素材ならではの、

粋でおしゃれな、素晴らしい広告だと思う。

日本の映画プロモーションで、ここまで本気度の高い

そしてダサくない、センスのある取り組みは、初めてかもしれない。

つまり、それほどに

『天気の子』は、映画として、ビジネスとして

尋常じゃない期待が集められていることの現れ、とも言える。

新海誠監督は、個人製作アニメ『ほしのこえ』に始まり

『言の葉の庭』まで、作家性を前面に押し出してきた。

それまでの興行収入の最高は、1億5,000万円にすぎず

大衆向けの映画監督ではなかった。

それが、東宝の敏腕プロデューサー川村元気と組み、

作品作りにまで川村に口出しされながら、喧嘩しながら

制作中に何度もRADWIMPSと衝突しながら、フラストレーションをためながら

作家性とエンタメ性に折り合いをつけて、完成させたのが『君の名は』である。

公開当初の目標は、興行収入15億円だったという。

(それまでの自己ベストの、10倍)

それがあっという間に社会現象化し、実に250億円を突破した。

(邦画として、『千と千尋の神隠し』に次ぐ歴代2位)

(日本国内で、『千と千尋』『タイタニック』『アナ雪』に次ぐ4位)

当初の期待を遥かに超えまくった、奇跡的な記録となった。

悪く言えば、とてつもないラッキーパンチだ。

このとてつもない成功体験を経て、新海監督が3年ぶりにつくりあげた新作が

『天気の子』である。

『君の名は』は、15億狙いの作品だった。

『天気の子』は、あわよくば、記録更新をも狙いたい作品となる。

(特に、配給の東宝にとって、プロデューサーの川村にとっては)

新海誠のポテンシャルがどこまであるのか、試される1作となるのは間違いない。

(私見として、細田守監督は、

 『時をかける少女』がピークだった。

 『バケモノの子』で見限って、もう見ることをやめた)

劇場で見ると、鳥肌モノの予告で、期待値はますます高まっている。

主演に抜擢された2人の演技もよさそうだ。

ストーリー展開もなかなか想像ができない。ワクワク感が高い。

小栗旬の演技もよさそうだ。

(藤原啓治を意識しているように聞こえてならない。そこがまたイイ!)

7月19日の公開が待ち遠しい。

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