新潟県、燕三条市には「燕三条キッチン研究所」があるんだという。
Twitterかinstagramでたまたま見て、
プロダクトに興味を惹かれたので調べてみると、なおのこと興味が湧いた。
「燕三条の地でおよそ80年に渡り金属加工の技術を研鑽し続ける製造メーカーと、新潟市のプロダクトデザイナー、グラフィックデザイナー、ライターが、<製造><デザイン><ことば>の視点から構築していく」
「100% 燕三条産の「ものづくり」」なのだという。
実際、モノが面白い。
食パン1枚でホットサンドがつくれる「ホットサンドソロ」(税抜4,500円)
スペースと油を節約できる「コンパクトフライヤー」(税抜5,500円)
炒めて、煮れる。三口コンロでも使いやすい「ひし形フライパン」(税抜7,000円)
価格もほどほどで許容範囲だし、
いかにもデザイナーが入っている、プロダクト・デザイン、HPデザイン
いかにもマーケティング好きそうな製品ページの文章など
かなり好感が持てて、魅力的だ。
パッと見はよさそうだ。
一方で、ネガティブチェックをしていくと
ホットサンドソロ以外は、差別化が弱いとも言える。
ホットサンドソロも、少し売れたら、大手が簡単にマネしてくるはずだろう。
(参入障壁が弱い)
そして、売り方が弱い。
HPでの直販のほか、全国17店舗へ卸しているが…
HPは、わざわざ探してもらえなければ、出会ってもらえない。
店舗では、ロフトの片隅に置かれていても、不十分だ。
自社SNSは、instagramがフォロワー1,940人。
自社発信力は、もっといくらでも鍛えられるはずだ。
そもそも
「100% 燕三条産の「ものづくり」」
この言葉が危うい。
職業柄、こうした「地域の力を結集させた!」的なプロジェクトは
いくつも見てきたが、成功例は極めて少ない。
(今治タオル、磨き屋シンジゲートくらいじゃなかろうか)
(その成功例も、運の要素がとても大きかった)
買う側からすれば、「100% 燕三条産」の凄さが
その言葉からだけでは伝わってこないのだ。
(悪く言えば、とても自己満足的)
「だから、何なのか」をもっと具体化して、
買う側にとって分かりやすく、確実なメリットとして発信しなければいけない。
とくに、現在進行形のコロナショックによって
消費者の「買い方」は確実に激変する。
店舗に行く頻度の減少。
景気悪化による、そもそもの「買い控え」の増加。
オンラインショッピングの急増。
店舗での偶然の出会いの減少。
店舗での試着、試用の壊滅。
などなど。
「良いモノ」を「作れば売れる」、は本当の意味で終焉を迎える。
いかに伝えるか。
いかに広めるか。
「広め方」、「売り方」の変化を加速させなければ
企業の生き残りの道は見えてこない。
燕三条キッチン研究所が当面できることと言えば、
①:差別化と参入障壁の高い商品開発を強化する
①+α:大手が入りにくいニッチ商品に特化する
②:少なくとも、Twitter、instagram、TikTokでの自社発信力を強化する
②+α:利用シーンをダイレクトに伝える動画投稿を強化する
②+α:メイド・イン・燕三条のメリット、価値、ストーリーを発信する
②+α:ライトなインフルエンサーを味方につける
このあたりだろうか。
とくにコストの小さい②の取り組みは急務だ。
近くにあれば、取材して関わりたいくらいだ。
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