「やってみなはれ」は、日本から中国へ

中国よもやま話

サントリーの創業者、鳥井信治郎氏といえば

「やってみなはれ」だ。

挑戦、トライ&エラーを後押しする価値観を、企業組織に根付かせることで

商品開発とビジネス成長を実現させてきた。

しかし、以前は日本企業が持ち合わせていた、この「やってみなはれ」精神は

現在では中国ベンチャーの代名詞に変わっている。

キャッシュレス、フードデリバリー、無人コンビニ、など

中国が日本の先、いや世界でも先頭を走っている領域は決して少なくない。

待ち時間ゼロのコーヒーチェーン、Luckin Coffee

OMOを体現するニューリテール、盒馬鮮生(フーマフレッシュ)

などは、その筆頭だろう。

アメリカのシリコンバレー以上に、

いまや「世界のイノベーション実験場」と呼ばれている。

(「世界の工場」として、下請生産、フォローだけしていた姿はもう過去のものだ)

中国の行政は、まず自由にやらしてみて、大きな問題が生じたら

問答無用で規制する、というスタンスでい続けている。

世界屈指のベンチャー天国、VC投資大国として、お金が回り続けていることから

数多くのベンチャーが、アイデアをすぐに実行に移し、試行錯誤を続けることができている。

そうした「新しいこと」への貪欲な挑戦は

中国人(一般消費者)のメンタリティにも受け入れられやすいのだろう。

しかし、そうはいっても、Twitter上でたまたま目にした

この抖音(ドウイン)=TikTokには、度肝を抜かれた。

これは、中国の4大イノベーション拠点「北上杭深」のひとつ、深圳の様子だ。

(北上杭深:北京、上海、杭州、深圳)

深圳のある小学校では、朝の登校の際に

校門で全生徒が顔認証でゲートを通過していくのだ。

そうすることで、学生たちの出欠管理を自動化している。

ここで大事なことは、「そこに顔認証必要?」とか

「子供たちの個人情報が危ない」とか、そんな減点探しではない。

素直に、「中国はここまで進んでいるのか!」と加点評価して認めることだ。

顔認証は、校門のゲートでの出欠管理だけでなく、

ランチの際の栄養摂取状況や、学習姿勢、友人関係など

学生生活のあらゆる行動と結び付けられる、かもしれない。

(そのためには、構内に無数の監視カメラがあることが前提だが)

ビジネスマンの働き方を測定・管理し、どれだけデスクにいるか、

オフィスを動き回っているか、誰と接触しているか

それらは実際に測定されて、すでに働き方分析・改革に役立てられている。

その対象が、子供たちにまで広がっても、何も不思議はない。

また、個人情報だって

じゃあ日本における紙ベースでの学生情報管理が、優れているのかと言えば

そんなことはまったくない。あんなもの、持ち出し放題である。

個人情報保護の観点から、粗を探すことは、的外れだ。

現在の中国は、本当に進んでいる。

「面白い、新しい、価値がある」だから、「やってみよう」が浸透している。

上に立つ意思決定者たちが、現場に

「やってみなはれ」と言うことを怖れていない。

日本だったら…と想像してみてほしい。

Twitterで、TikTokで、

また日本と中国の差をまざまざと見せつけられた。

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