差別化って、こういうこと

マーケティング小話

映画『JOKER』(日本では10月4日公開)の評判が

ちょっと尋常じゃない。

悪評をひとつも聞かないばかりか、

好評はすべて、突き抜けて傑作との呼び声が高い。

漫画原作の映画として、初めて

世界3大映画祭のひとつ

ベネチア国際映画祭で最高評価の金獅子賞を獲得した。

すでに年明けのアカデミー賞、オスカーの最有力候補に名乗り出ている。

BATMANシリーズは、

クリストファー・ノーランによる「Dark Knight」3部作が名作で、

その後のDC Universeで一気に評価を下げてしまった。

(DC Universeは、ワンダーウーマン、アクアマンといった

 単体ものでは高評価だが、

 バットマンの評価は低く、

 ユニバース化にも失敗している)

続く、再リブート版(若返り)も、

はっきり言って、期待の持てないキャスティングだ。

アメコミ映画と言えば

アメリカでも、世界でも

もはや圧倒的にMARVEL Cinematic Universeであり、

IRONMAN、CAPTAIN AMERICA、

BLACK PANTHER、CAPTAIN MARVEL、

あるいは離脱したがSPIDER-MANだ。

もともと

ノーラン3部作のヒットを受けて、

シリアス系、ダーク系のアメコミ映画が続いた中で

食傷気味になり、飽きられてきて、

その流れを

アイアンマンに始まるマーベル・シリーズの大ヒットが

リアル路線は残しながらも、

ポップ、ユーモア、ポジティブな方向へガラリと転換させた。

Gardian of the Galaxyシリーズはその筆頭であり、

この支配的な流れは

ワンダーウーマンやアクアマンを見てみても明らかである。

そうした中で

真逆に、

逆張りした、

むしろ、ノーラン3部作よりも

遥かにシリアス、ダーク系に振り切っていて、

なおかつ絶賛を集めているのが、この『JOKER』だ。

演技派、個性派であるホアキン・フェニックスが主演

脇には、重鎮のロバート・デ・ニーロを配置している。

超演技派、超高齢化、超シリアス・ダーク系、そしてR15指定。

ここまで、現在のヒットの流れに逆らう作品にしたのには

理由がある。

ワーナー・スタジオから監督に指名されたトッド・フィリップスは、

「マーベルは怪獣です、勝てません」

「だから、我々は、マーベルにはできないことをやりましょう」

と提言したという。

その結果、方向転換を決意した。

DCコミックスのキャラクターをきちんと描きつつも、

過去の映画には一切干渉しない独立した作品とすること。

派手なアクション・CGを避けて、あえて低予算の作品にすること。

「『JOKER』を皮切りとして、

 素晴らしいフィルムメーカーたちに加わってもらいましょう」

「すべて脱ぎ捨てれば解放されます」

ここで行われたことは、シンプルで、重要だ。

① 相手の強さ、弱さ、特徴を客観視すること。

② 自身の強さ、弱さ、特徴を客観視して、できることを検討すること。

③ 相手と、明確に差別化すること。

これこそ、当たり前で、でも実行が困難な

差別化戦略である。

10月4日が待ち遠しい。

C