深圳=「アジアのシリコンバレー」

中国よもやま話

深圳は、

「アジアのシリコンバレー」

「ハードテックのシリコンバレー」と呼ばれる

テック系ベンチャーの集積地として世界的に有名である。

生産拠点が集積する「世界の工場」と呼ばれる広州に近く、

ビジネスの盛んな香港には隣接していることから

製造に強みを持つベンチャーが次々に誕生していく場所になっている。

広州には高速鉄道で30分、

香港には地下鉄で容易に行き来することができる。

中国最大のメガベンチャーのテンセント(騰訊)社、

世界のスマホ大手のファーウェイ(華為技術)社、

世界最大のドローン・メーカーのDJI(大疆創新科技有限公司)社など

多くのメガ・ベンチャーの巨人たちが深圳から生まれている。

2016年、深圳は国際特許の数で中国国内トップの都市になっており、

ハイテク産業の集積地であることから生産額が大きく、

深圳の1人当たりGDPも中国国内トップである。

空港周辺は、40年前の面影を残す。
空港から市街地へはメトロで30分程度。非常に便利なメトロ網。
メトロ車内。日本と比べて、ヒトと広告が少なめ。
子供が騒いでも嫌な顔をされることはない。

しかし、1980年まで深圳は小さな漁村にすぎなかった。

市場経済の導入を進める改革開放のなか、

深圳は経済特区に指定されたことによって

国内の労働力と、外からの投資が集中していくことになった。

隣にある香港からの投資の受け皿となることで急成長を果たしていく。

各種の優遇措置にひかれて多くの企業が進出し、

国内各地からは多くの若者の労働力が流入してきた。

そして、北京や上海のように既存の有力国有企業がいなかったことで

深圳市政府は、創業を促進して

企業規模に関わらずにハイテク分野へ集中投資していく道を選んだ。

市政府は「補助金よりも、自由に工夫をして商売を行う権利が欲しい」と

党中央に主張し独自路線を進み、

その結果、深圳は起業家にとって

機会が平等に与えられる、

やりがいのある場所として成長を遂げていくことができた。

1990年代から、家電やIT機器の生産拠点として発展していき、

台湾の鴻海精密工業社が巨大工場を設置したことで

多くの部品製造企業が集積していった。

下請けの集積地として

モノを安く作れる場所として

発展を遂げていくことになる。

産業集積によって

深圳では100km圏内に

設計から部品調達、組み立て生産、品質検査の各機能を担う各企業が揃い、

短サイクルで生産と改良を回せるようになっていった。

世界3位のコンテナ港の深圳港と、

市内に位置する深圳宝安国際空港のおかげで、

3日以内に

世界の9割以上の都市に製品を届けられる交通アクセスも整えられた。

そうした強みを活かし、低品質低価格の模倣品製造の場から始まり、

高品質高価格にも守備範囲を広げ、

さらには高品質中価格のプロダクトを生みだせる

唯一無二の場所へと発展していった。

2008年、リーマンショックの影響で外資の撤退が相次ぐと

深圳市政府は

「騰籠換鳥(籠を空けて鳥を換える)」の方針を打ち出し、

労働集約型産業から技術資本集約型産業へ焦点を移行させ、

深圳独自のイノベーション創出を促進させていく選択をする。

その流れから、テンセント、シャオミ、DJI、

さらにスマホ製造のZTE、EVのBYDなど

多くのメガベンチャーとユニコーンが大きく羽ばたいていった。

2015年に発表された「深圳市促進創客発展三年行動計画」では

低コストでオープンなメーカースペース(衆創空間)の市内200カ所設置や、

メーカーに特化した人材・教育・サービスの整備など、

深圳独自の発展を継続させていっている。

亜熱帯の気候で、植物が生い茂るなかに、高層ビルが立ち並ぶ独特の風景。
上海とも北京とも異なる、独特の熱気を放つ街。

経済特区指定の以前には人口3万人の漁村だったのが

2016年には1,191万人へと跳ね上がっている。

その大部分は、他都市から入ってきたビジネスパーソンであり、

平均年齢は32.5歳と極めて若い。

そして、そのうち7割は深圳に戸籍を置いていない。

また、海外からの帰国留学生(海亀族)の人材が、8万人以上入ってきている。

それだけ、海外経験者にとっても

魅力に溢れた企業と環境の揃った都市になっている。

深圳の中心部には、秋葉原の30倍規模の電気街「華強北」がある。

華強北は、部品供給の市場となっており、

パソコン、スマホ、ドローンなどあらゆる電子部品を手に入れることができる。

中小規模の3,000店舗が集結する10階建てのビルが28棟も並び立ち、

全体の来場者は1日あたり50万人を超えるという。

このモノを仕入れる巨大マーケットの周囲には、

ベンチャー製品を製造するメーカースペースが250カ所以上存在し、

華強北で部品を仕入れてメーカースペースに持ち込めば

すぐに試作品や製品の製造が実現できる。

ここでは部品の製造から、設計、調達、組み立て、検査のサプライチェーンを

高速で回すことができることから

「深圳での1週間は、シリコンバレーでの1カ月」

と言われるほど特別な環境になっている。

ベンチャーにとって

プロダクトの市場投入と改良のサイクルを早く回せるということは、

それだけコストの節約に直結するために

深圳は拠点を構える理想的な場所である。

平日夕方の賑わいはこの通り。
想像以上に、綺麗で新しく、大規模だった「華強北」

深圳という都市の名は、よく耳にしていたが

実際に訪れてみると

多くの点で、イメージと異なる場所だった。

亜熱帯で、蒸し暑いなかに、ハイテク企業のオフィスが立ち並ぶ。

そのアンバランスな光景は、ココならではだろう。

中国の都会の1つとして

トイレはきれいで紙もあり、

車いす用トイレやオムツ交換台も完備された

ショッピング施設が立ち並んでいる。

街中の移動は、格安のメトロ(荷物検査アリ)か

タクシーか、

ディディで不自由なく行き来できる。

ディディの運転手や街中のヒトは、何か尋ねると

とても親切に教えてくれる。

上海と比べて、明らかに深圳の方がヒトに優しいそうだ。

それは、この街が「移住者の街」であることと無縁ではないだろう。

国際色豊かな街、ヒトだと想像していたが

街中には圧倒的に中国人。

アジア系以外のヒトの姿はほとんど見られない。

それは、この街があくまで中国人の力で動いていること、

発展してきたことを端的に表しているように感じた。

それは、深圳大学でも強く感じたことだった。

留学生の姿はほぼなく、中国人オンリーだった。

つまり

海外人材の流入は、まだまだこれからということである。

まだ成長過程である証拠、ではないだろうか。

深圳大学エントランス。カオスな中国の大学を初体験。
街中にはシェアサイクルも普及。ただし、扱いは良いとは言えない。
フーマ、ラッキンなど、話題の店は一通り揃っている。
ショッピング施設などにチラホラある、1人用カラオケボックス。
観光地として有名なFreeSky。2017年2月時点では、世界一高い
ショッピング施設(並)のキッズパーク。雨の日の救世主。
いつでもどこでも、雨の日でも。宅配バイクは大忙し。
真新しい深圳空港には携帯広告のRDJが迎えてくれる。
RDJを広告に起用できる資金力を持った携帯会社(無名)がある時点でスゴイことだ。

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