マスを狙うための「大衆性」

マーケティング小話

担当編集者から、こんな話を聞いたことがある。

「知人の編集者は、本をつくるときに

 映画『アベンジャーズ』を、“大衆性”の基準にしているという」

「『アベンジャーズ』くらい、

 分かりやすくて、面白く、老若男女が楽しめるコンテンツが理想だからだ」

この意見には、心の底から賛同する。

私自身、

カンヌでウケるような

アート系、作家性の強い映画を好んで観ていた時期もあった。

しかし、30歳を迎えた頃から

大衆性を備えた作品に好みがシフトしてきている。

(そもそも、映画を観る本数自体が激減しているが)

最近観た映画(海外ドラマ、アニメ等)をさかのぼれば…

『ロマンスドール』,『ジョーカー』,『空挺ドラゴンズ』,『ザ・ボーイズ』

『ミッションインポッシブル/フォールアウト』,『TRUE DETECTIVE』などなど

売上、興行収入、視聴者数といった形で

「大衆からの支持」を集ているものが多い。

(この中では、『ロマンスドール』だけ例外だが…そこは蒼井優に惹かれて)

好みのシフトの理由は、

ビジネスとして成功させる難しさ・面白さを

自分事として何度も味わってきたからだと思っている。

プロダクトをヒットさせることは、本当に難しい。

マニア向け、ニッチ市場向けのプロダクトであれば、そこまでハードルは高くないが

マス市場向けのプロダクトを狙い通りにヒットさせることは、とてもハードルが高い。

その事実を、何度も経験してきたからこそ

ヒット作品の凄さ、あり得なさ、奇跡を

フラットに受け入れられるようになったように思う。

ミッションインポッシブル・シリーズがどれだけ凄いか。

マーベルのMCUがいかに奇跡的か。

それこそ、MCUは

監督も役者も、

ミニシアターやアート系で成功した人材を抜擢して

意図的に大衆性を持たせた演出・演技をさせることで、作品に深みを持たせている。

だから、ミニシアター系の作品しか作れない日本の映画人たちが

ハリウッドの超大作を小馬鹿にして話している(陰口を叩いている)のを見ると

心底、嫌悪感を抱くようになった。

劇作家、井上ひさし氏の言葉

「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」

これは、あらゆるコンテンツ、プロダクトに通じる重要性を持っている。

難しいことを、小難しく書くことは

はっきり言って、バカにもできる。

もっと言えば、そんなものは自己満足の世界だ。

価値は、相手に伝わって、届いて、

初めて「価値」になれる。

伝える・届けるために大衆性を獲得する技術

それは1つの高度な専門技術だ。

小難しいアート系が偉くて、大衆向けのブロックバスターは幼稚、なんて

ちゃんちゃらおかしい話だ。

そういう人間は、まともなビジネスを知らないのだろう。

「難しいことを

 分かりやすく面白く、エンターテインメント性を持たせて伝える・広める」

それこそ、ビジネスパーソンが挑戦すべき課題である。

とくに、マス市場、大勢のヒトへ発信する際には、絶対に忘れてはいけない。

ビジネスパーソンは、そのプロダクトに精通した「プロ」だが

消費者、とくにボリュームゾーンにいる大衆は

本当に「素人」なのだ。

素人に伝える意識、は軽視しがちだが

極めて大切なファクターだ。

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