「身内意識」というファクター

中国よもやま話

毎回、中国に行くと、まず待っているのは

大勢の家族、親戚、知人との会食のラッシュだ。

10人、20人、ときには50人以上が集まって夕食を共にする。

レストランの個室、円テーブルで行うのが一般的だろう。

今回は到着から6晩つづいた。

(ビール・ワイン・バイチュウでの乾杯が果てしないのは、イメージ通り)

中国人と結婚した日本人であっても

家族の一員として、「身内」として、温かく迎え入れてくれる。

その温かさ、手厚さ、ウェルカム感はすごいものがある。

(往々にして、熱烈すぎて、近すぎて…

 俄かには受け入れがたい部分もあるものだが)

そうした「身内」と「それ以外」という意識は

中国において、公私にわたって強固な境界線として存在している。

中国ビジネスにおいて

取引相手に「身内」がいるかどうか

交渉の仲介に「身内」をはさむかどうか

は、ビジネスを決定的に左右することになる。

だから、中国におけるビジネスを上手く回すためには

現地化して

いちはやく「身内」の一員になる必要がある。

現地に根差した

ビジネス慣習

人材

ネットワーク

を構築しなければならない。

日本企業で、それに成功しているB2C企業は

日清食品、ダイキン、ピジョン、そして資生堂といったところだろうか。

資生堂は

2019年1月1日付で

上海に「中国事業創新投資室」を設立した。

中国ベンチャーとの協業を強化し、

中国市場のためのイノベーション推進拠点にすることが目的である。

中国市場でのイノベーション強化によって

その成功体験を資生堂のグローバル事業全体へ波及させる狙いもある。

中国市場における資生堂の成長は著しく、

2017年度の売上は前年比22%増の1,443億円、

営業利益は117%増の113億円へと大きく伸ばしている。

同社では、その成功要因として

本社主導から現地主導への転換による収益性改善

高価格帯のプレステージ事業とEC事業へのマーケティング投資の集中

の2点を挙げている。

この成長をさらに加速させて

2020年の目標としている

売上高2,040億円、営業利益率10%台前半を達成するために

中国ベンチャーとの協業を拡大させていっている。

あるいは

主要4領域すべてで大幅減益に陥っているパナソニックは

「現在の危機感は200%」と社長が公言してしまっており、

「このままでは次の100年どころか、次の10年も危うい」

だから

「機能が優れ装備がリッチであればいいという

 高級・高機能を追求する『アップグレード型』はもうやめる。

 暮らしの中で顧客がこうあってほしいと望むことを、

 製品に組み込んだソフトの更新で順番にかなえるような

 『アップデート型』に変えていく」

として、自社の改革を進めている。

その改革のひとつとして

社長自らが2018年だけで8回も中国を訪れ、

暮らしの実態を見るために5軒の家庭訪問まで実施した。

2019年4月には、中華圏を専門でベンチマークする

パナソニック初の地域別社内カンパニー「中国カンパニー」を設立。

「中国のスピード感についていけなければ、

 アジアでもインドでもうまくいかない」として

中国企業と手を組み、中国のインサイダーになって、

中国企業のようにリスクを取って

新規事業を成功させていく方法を模索している。 

公私にわたって

中国における「身内意識」という要因(ファクター)は

極めて大きな意味を持つ。

円テーブルの中に入るか否か。

「輪」の内側に入っているか否か。

その比重の大きさは、日本のビジネスの比じゃない。

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