「大衆向け」のハードルの高さ

マーケティング小話

「大衆向け」と言うと

映画やドラマなら、「あぁ、家族向けのぬるいヤツね」

食事なら、「あぁ、一通り揃ってるファミレス的なところね」

とちょっと下に見られがちな印象がある。

しかし、自分自身が製品開発、広告宣伝、ブランドマネジメントの立場に立って

「大衆向け」にプロダクトを広めていく当事者になってみると

「大衆向け」が、いかにハードルの高いものなのかに気づくことができる。

「大衆向け」とは、言い換えれば

子供から大人まで、みんなに同じものを売りたい

ということになる。

つまり、「マス・マーケティング」だ。

好みの多様化が進み、ブームの流行り廃りが早い現代において

ターゲットを絞り込んで

一定の人々に向けて、彼らが好むものを届ける、セグメント・マーケティングが

マーケティングの基本になっている。

それをさらに進めて、消費者1人1人に最適なように

広告提示、商品提案、クーポン配布などを行う1to1マーケティングも進んでいる。

これらは、マス・マーケティングが困難になったからこそ

生みだされたマーケティング手法である。

だから、逆説的に、

現代において「大衆向け」のマス・マーケティングに成功できたとしたら

それは、非常に困難な道のりを潜り抜けた、

奇跡的な達成だと誇っていいものである。

「大衆向け」を、ちょっと下に見るなんて、もってのほかだ。

基本的には、広告を見れば、その商品のターゲットが分かる。

だから、子供と大人が一緒に出ている広告を見ると

「お、広く狙ってるな…」と、そのマス狙いの挑戦的な姿勢を評価してあげていい。

(あるいは、「そんなに欲張って大丈夫か…」と不安視してもいい)

いつでも(朝昼晩、自宅でも、職場でも、スポーツのときでも、誰と一緒でも)

だれでも(老若男女、国籍を超えて)

というマス・プロダクトの定番品は、過小評価すべきじゃない。

0からそのポジションを目指そうと思えば

いかにハードルが高いか、分かるのだから。

なかでも、過小評価されていると感じるのが

ポケモンGOだ。

まさしく、世界中の老若男女に向けて

まったく同じアプリ・ゲームを広めることに成功した

近年まれにみる、マス・マーケティングの成功事例である。

「ポケモンGOなんて…」「ポケモンGOをやったことすらない」

などと言っているとしたら、

その人はマーケターとしてのセンスと自覚に欠けている。

なぜなら

めったにお目にかかれない

コンテンツ系のマス・マーケティング、

そしてデジタル・マーケティングの事例を

無料でダウンロードできるのにもかかわらず、体験していないなんて

どうかしている、と言われてもおかしくないだろう。

同じことは、MCUのアメコミ映画にも当てはまる。

10年、23作のヒットを積み重ねて

アメコミ映画を、アメコミ好きに限定されたセグメントから解き放ち

世界中、老若男女、

映画ファンも、映画初心者も

だれもが楽しめるマス・コンテンツに飛躍させた

『IRONMAN』シリーズ、『AVENGERS』シリーズを観ていないなんて

あまりにもったいなさすぎる。

誰もが楽しめるプロダクト、料理、ホテル、ドラマ、本、などなど

「大衆向け」の成功事例は、あまりに貴重で、

素晴らしい先行事例・学ぶべき教材として、見るべきだ。

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