マーケターズ・バイブル

マーケティング小話

『Pumpkin Scissors』という漫画を御存じだろうか。

作者は岩永亮太郎、連載誌は月刊少年マガジン。

22巻まで発売され、連載中の、戦災復興部隊を描く活劇だ。

ネットでの評判を見つけて気になり、個人的には、はじめのうち絵に抵抗があったが

その圧倒的な物語性とパワー、そしてメッセージ性に、一気に魅了された。

作者が積み上げてきた伏線と主張が一気に爆発したのが、21巻だ。

21巻から爆発的に展開される数々のメッセージは、

あらゆるビジネスパーソン、とくにマーケターにとって

自身の仕事や働き方と結び付けて考えると、心に響くものが大きいはずだ。

(その文字量たるや、小説並み)

私にとって、マーケターズ・バイブルは

ビジネス書よりも学術書よりも、『Pumpkin Scissors』だったりする。

いくつか、心にズシリと響いた言葉を紹介したい。

「(技術の進化と革新によって)

 以前なら可能性を諦めなければいけなかったはずの時間の中で

 (多くの可能性に)辿り着くことができるのだ」

『技術の正義』

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「事ある毎に言われてきた。『それは理想だ』と

 『そんなことができれば苦労はしない』と…

 本当にそうだろうか!?

 本当は、追い求めるうえでの困難さや

 やり遂げるための途方もなさに目を逸らしたのではないか?

 古臭い、青臭い、

 大切なものを口に出して「臭い」と笑われる前に…

 自ら笑う側に廻ったのではないか…

 でも、本当は…本当はムダではないのではないか!?」

「その『成し得ぬ』という判断は、本当に純粋なものなのか?

 しんどいから、めんどうくさいから、楽には成し得ぬから

 努力しても成し得ぬことにしてしまってはいないか?

 『そんなことができれば苦労はしない』

 苦労したくないから、できないことにしていないのか?

 『こんなものは理想論だよ』『ただの理想だ』

 理想は、理想という言葉は

 理想はいつから、叶わぬ夢の代名詞となった!?」

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「『世界は、』そう語る瞬間、その人間は

 この世界からズレてしまっている気がして…

 世界中のあらゆる人間が

 名無し、顔無し、無個性の、のっぺらぼうになっている…

 都合のいい仮定像を作って、例外を見ず、『世界の人間を一括りにする』…

 何か大切なものを語る時

 『名無しの誰か』ではいけないのだ」

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「名前があってはじめて…人は心の底から思うことが、考えることができるのだ。

 仮初でも名前があってはじめて考証の叩き台となる。

 私は…私が今伝えた正義に、『アリス・L・マルヴィンの正義』と名付ける。

 …この時代に生きる、今、目の前にいるお前たちにこの正義で挑む。

 否定も肯定も、無視も干渉も、思う存分するがいい!!

 社会は金床、民衆は金槌、正義は熱き鋼なら

 叩いて叩いて叩かれ抜かれ、不純物を弾き出し、精錬し、研磨し、一振りの剣となろう」

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「今日の私の決断を…放った言葉を…

 『無理をするな』と優しい言葉で否定しないでくれ…!!」

「オレが『少尉の正義』の味方をしますよ。

 だから…思う存分、少尉の好きにしてください」 

「…『苦しみ』は、武器であり、感覚器なんだ。

 …それが己の理想に値うかどうか…それを決めるには

 己の心を見る器官が必要なのだ。

 苦しいのが良いわけない

 でも、苦しみを喜びに近付ける戦いに勝つためには

 苦しみという器官で、打破すべき不可視の敵影を捉える必要があるのだ。

 …まだ戦ってる最中なんだ。

 『かわいそうに』と優しさで敗者にしないで欲しい…」

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>現在、そして近未来のテクノロジーやデジタル・イノベーションの再考

>ビジネス、製品開発、働き方における理想の追求

>消費者を考える際の、実像に対する自戒

>自分自身のオリジナルの主張をする恐怖と勇気、そして意義

>苦しいプロセスの価値と、それを応援してくれる誰かの存在の大切さ

多くのメッセージから、人物たちの姿から、勇気をもらえる。

漫画家というのは、

映画に例えれば、ロケハン、時代考証から、美術、演技、監督まで

Story Telingにおけるすべての役割を、作者1人で担当するような超人だ。

だから、映画監督や俳優の中には、漫画家を心底リスペクトする人が多い。

『Pumpkin Scissors』は、凄まじい才覚を持った作者によって

漫画という手段で、多くのビジネスパーソンを応援するメッセージが発信されている。

ぜひ、発信される情報の洪水を楽しめる21・22巻を手に取るために

まずは、その前段階の20巻分を読破してみていただきたい。

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