『LA LA LAND』は、ビジネスのお手本

マーケティング小話

ハリウッドのエンターテインメント産業を見てみると

実は多くの場面で、「下」(若手)の活躍を

「上」(ベテラン)が支えていることが分かる。

2016年に北米で公開された映画『LA LA LAND』は、

3,000万ドルの製作予算に対して

世界で4億4,600万ドルの興行収入をあげる大成功を収めた。

その成功は、興行面だけではなく

賞レースでも飛び抜けた成果をあげた。

その年のゴールデン・グローブ賞では

主演女優賞、主演男優賞、監督賞など史上最多7冠、

アカデミー賞では史上最多14ノミネートのすえに6冠を達成した。

しかし、公開前には

ハリウッドの通説にある「実写ミュージカルはヒットしない」に基づく

多くの批判にさらされていた。

特に、ブロードウェイ・ミュージカルを原作としない

オリジナル作品では、絶対にヒットは狙えない

と後ろ指をさされていた。

実際に、『LA LA LAND』の監督であるデイミアン・チャゼル氏は

もともとミュージカル映画を作りたかったが、

スタジオの賛同を得られず、

前作『Whiplash(邦題:セッション)』をヒットさせて初めて

製作資金を得ることができた。

この『LA LA LAND』の製作陣を見てみると

主演女優のエマ・ストーン氏が28歳

主演男優のライアン・ゴズリング氏が36歳

ハーバード大学出身の監督兼脚本のデイミアン・チャゼル氏が32歳

監督の大学時代からの友人で作曲のジャスティン・ハーヴィッツ氏が32歳

と特出すべき若さである。

いずれも受賞時の年齢であり、

映画の製作段階ではもう1,2年さらに若かったことになる。

監督兼脚本のチャゼル氏は、

同作品で史上最年少でのアカデミー賞監督賞の受賞を果たした。

この若く、才気に溢れるタレントたちだが、

彼らを支えたプロデューサー陣は、

経験豊かな業界のベテラン勢である。

プロデューサーとして

ゲイリー・ギルバート(受賞時、52歳)、マーク・プラット(60歳)

という業界を知り尽くしたベテラン勢が

若手のアイデア、思い、才能を開花させるために

障害を取り除き、道筋を整えた。

「上」と「下」が役割を分担し、融合した結果として

『LA LA LAND』は奇跡的な成功を収めた。

世界のイノベーションの第一舞台となっているシリコンバレーでも、

第二舞台である中国の北上杭深(北京、上海、杭州、深圳)でも、

この「上」が「下」を飛躍させる構図ができあがっている。

ベンチャー業界において、上場や売却によって

大なり小なりの成功を掴んだ者の多くは

連続起業家かエンジェル投資家、あるいはその両方となる。

エンジェル投資家になった成功者たちは

それまで以上に、

夢に向かって熱を帯びる若者たちのビジネスプランに対して

面白さや可能性に賭けて応援するようになる。

「かつては自分もお世話になったから」

「成功までには失敗の山を築くことになると、身をもって知っているから」

といった理由から、

実績はなくとも、説得力のある起業家の卵をバックアップする。

当然、投資として実利的な側面はありながらも

ボランティア精神に近い感覚も持って

資金やノウハウ、人脈を提供して支援していく。

自らが、シードやアーリーのベンチャー企業に参画していくケースも少なくない。

つまり、失敗を織り込み済みで

「下」の挑戦を支援する「上」の先駆者たち、ベテランたちが大勢いるのである。

彼らの存在があるからこそ

「あの場所でなら夢を追いかけることができる」と

世界中の起業家が

シリコンバレーと北上杭深に集まり、

ベンチャー起業&イノベーションが繁栄していっている。

日本のように、

「上」が「下」と同水準であり続けるべきではない。

「上」が「下」をライバル視すべきではない。

「上」が「下」を潰すようなことは、あってはならない。

「下」を飛躍させる仕組みは

成長・飛躍・革新にとって不可欠なものなのだから。

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