「〇〇っぽい」は、ほめ言葉

マーケティング小話

週刊少年ジャンプ連載中の、『呪術廻戦』が面白い。

累計発行部数は110万部を突破する人気ぶりだ。

(ただし、コミックの年間売上トップ10にはまだ入る程ではない)

(2018年のトップ10は、

 ワンピース、僕のヒーローアカデミア、進撃の巨人、

 スラムダンク、ハイキュー‼、キングダム、七つの大罪、

 約束のネバーランド、転生したらスライムだった件、東京喰種:re)

1年で800万部を売るワンピースの異常ぶりと

スラムダンクがランクインしている恐怖と…

10位の東京喰種:reでも推計売上部数320万部という衝撃。

本が売れないとはいっても、まだまだ漫画は売れている。

アニメやゲーム向きには思えない『呪術廻戦』が

どこまで成長していくかは未知数だが(アニメの出来と声優次第だろう)

漫画としては、かなり面白い。

個人的に思うことであり、ネットでよく言われることでもあるのが

『呪術廻戦』は、昔の漫画っぽい部分がありながら、オリジナリティもある点だ。

「『呪術廻戦』は、BLEACHっぽい」(卍解と領域展開は、まさしく)

「『呪術廻戦』は、HUNTER×HUNTERっぽい」(俯瞰の長い語りなど)

「『呪術廻戦』は、幽遊白書っぽい」(今週の「佐藤黒呼かよ」は最高だった)

大事なのは、「○○っぽい、けど面白い」という評価である。

「○○っぽい、けど面白い」は、

実はプロダクトやビジネスに対する評価として

最上級のほめ言葉だ。

ビジネスにおいて、ベンチマーキングは極めて重要なスキルとなる。

ベンチマーキング(benchmarking)とは、

同業他社や異業種の優れた企業を分析して

製品やサービス、ビジネスモデル、プロセス、などの

エクセレンスを抽出して、自社の変革に役立てることを指す。

「0 to 1」に固執する必要は、ない。

なぜなら、イノベーションとは、「0 to 1」に限られた概念ではないからだ。

多くのイノベーションは、「New Combinations」である。

既存の要素の新しい組み合わせによって

これまでにない新しい価値を生み出すことができる。

そのために、まずは先行事例を徹底的にベンチマークして、

既に存在する優れた要素を把握する。

それから初めて、既存要素の新たな組み合わせ方を検討できるようになる。

漫画に限らず、日本のコンテンツ、ビジネスは

0からまったく新しい何かを考え出そうとして思い悩み行き詰まるか、

前例や検索結果を安易に丸々コピーするか、

という両極端の傾向に陥りやすい。

真似や模倣、コピーといった言葉には抵抗を感じるかもしれないが、

「型破り」な斬新な価値は、

既存の「型」を知らなければ、型を破ってブレイクスルーさせることはできない。

ベンチマークは、ある意味で伝承であり、

すでにある優れた部分を受け継ぎ、取り入れ、

さらに優れたプロダクトを生みだしていくことだと考えてもいい。

「前例主義」ではなく、「前例更新主義」だ。

「学ぶは、真似る」という言葉の通り

真似の完全放棄は学びの完全放棄、と言っても過言ではない。

分析とは、物事を分けて析出することであり、

ベンチマーキング対象について分解し、

取り入れるべきエクセレンスを浮かび上がらせ、

自社ビジネスに吸収していく姿勢は、当然に重要視されるべきものである。

だから

『呪術廻戦』が、

「BLEACHっぽくて面白い」とか

「HUNTER×HUNTERの良いところを取り入れてる」とか

「幽遊白書をリスペクトしてることが伝わる」とか

「○○っぽい」、そして「面白い」と評されていることは

過去の名作のエクセレンスを吸収しながら

オリジナルの面白さを発揮できているということだ。

『ひとつのプロダクト、コンテンツとして、理想的な創られ方』

という最上級のほめ言葉に等しい。

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