俳優の志に学ぶ

マーケティング小話

韓国を拠点に活動する中国人映画監督が

日本を題材に撮影した映画『柳川』、という作品が撮影を終えたらしい。

個人的には、特別に興味は沸かない作品なのだが

この作品に出演した俳優、池松壮亮のインタビューには

大いに心を動かされた。

(詳しくはコチラ参照 https://eiga.com/news/20200320/8/

「これだけグローバル化が進んだ世の中で、日本だけで日本らしさ、日本の良さを見つめていくというのはもうとっくに限界が来ていると思うんです。そういう別の視点、視座を織り交ぜていかないと、自国を、自分自身を見出していくというのは映画というメディアの中では難しいんじゃないかと思うんです」

「日本映画の歴史という縦軸、世界の映画事情という横軸を見れば、今、日本映画は腐敗しきっていると答えざるを得ません。みんなでやんわりと映画というものの価値を落としてきたことの代償、長いあいだ問題を放置してきたことの代償だと思います」

「じゃあ今やるべき事は何なんだと日々考えていますが、とにかく変化を求めるなら真っ先に自分自身がリスクを冒していかなければならないと思っています。自分を安全な場所に置いて変化だけ求めるというのはとても無責任だと自分に言い聞かせています。目の前の問題は山積みです。とはいえ、僕がどう思ったところで映画は一人では成り立ちません。変化を求める人、志の高い思考を持った人たちと映画を共にしていきたいと日々切に感じています」

1人の映画好きのマーケターとして、思うところの多いコメントだった。

まずは、日本の映画界について。

『踊る大捜査線』以降、ドラマ→映画の安パイルートができて、

漫画・アニメの実写化という定番の選択肢も増えて、

日本映画産業としては、洋画のヒット作の波はありながらも

コンスタントに年間興収2,000億円を超えられるようになっている。

一方で、似たようなキャスティングと作品が量産され、

国内でしか通用しない(そもそも世界に広めようとしていない)作品が溢れている。

小栗旬が以前から問題提起しているように

日本映画界には、労働組合もなければ、勤務規定もない。

是枝監督など、一握りを除けば

グローバルで通用する人材、作品は皆無に等しい。

それこそ、ちょうど2020年

韓国人監督のポン・ジュノは、映画『パラサイト』で

カンヌ映画祭のパルムドール、米アカデミー賞で監督賞・作品賞脚本賞を総なめにした。

国内市場が小さすぎる韓国は、監督、俳優など

世界を目指し、世界で結果を出している人材が豊富だ。

中国は、絶大な資本力を背景に、むしろハリウッド側からすり寄っていっている。

日本は、ここでも孤立してガラパゴス化へ一直線なのだ。

映画は、ビジネスという側面がすべてではない。

アート、文化、社会的メディア、エンターテインメントなど

多面的なコンテンツである。

30代の池松壮亮や小栗旬が、

日本映画の現状を嘆き、悔しく思い、

世界を知り、そして自ら率先して変えていこうとする姿には

心を打つものがある。

『外』を知らなければ、『内』の本質に気づくことはできない。

『外』と『内』をどちらも知り、体験し、比較してこそ

良し悪しは見えてくる。

これは映画の話だが

「映画」を、「ビジネス」「マーケティング」「研究」「教育」といった

べつのキーワードに置き換えても、まったく同じ問題意識を持つことができる。

そこで、上述のこの言葉が刺さってくる。

「じゃあ今やるべき事は何なんだと日々考えていますが、とにかく変化を求めるなら真っ先に自分自身がリスクを冒していかなければならないと思っています。自分を安全な場所に置いて変化だけ求めるというのはとても無責任だと自分に言い聞かせています。目の前の問題は山積みです。とはいえ、僕がどう思ったところで映画は一人では成り立ちません。変化を求める人、志の高い思考を持った人たちと映画を共にしていきたいと日々切に感じています」

ビジネス、マーケティング、研究、教育などの

それぞれの自分自身のフィールドにおいて、私たちは

口だけになっていないか。

リスクを取って挑戦できているか。

何かを変えようと思ったら、自分自身が挑戦していかなければいけない。

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