圧倒的な「速さ」

中国よもやま話

中国の企業の本質的な強さは、その圧倒的な「速さ」にある。

判断、意思決定、実行、投資の速度が

日本企業とはまるで違う。

ソニーに勤める知人は、

「だから、先を行かれる」と

日本企業の「遅さ」を嘆いていた。

特に、ライバル企業、成功企業をベンチマークして

相手の良いところを素直に認めて

即座に自社に取り入れていく。

その速度を、現地でまざまざと、肌で感じる事ができた。

コーヒー・チェーンのベンチャー「Luckin Coffee」は

通称「Crazy Lukkin」と呼ばれる、

中国ベンチャーの中でも、最速で成長を遂げている企業だ。

2018年の出店開始から、わずか1年で

中国国内22都市に

2,000店舗以上を広げてしまったほどの「クレイジーっぷり」だ。

その最大の成長要因は

自社アプリによる

「事前注文・キャッシュレス決済・待ち時間0受取」だった。

てっきり、これはLuckin Cofeeの専売特許なのかと思っていた。

しかし、2019年の夏

中国を実際に訪れてみると

自社アプリで「事前注文・キャッシュレス決済・待ち時間0受取」は

すでにコモディティ化していた。

競合であるスターバックスも

類似業態のマクドナルド、バーガーキング、KFCも

自社のサービスにあっという間に組み込んでいた。

Luckin Cofeeの強み・差別化要素だったアプリ戦略は

すでに多くの企業の「当たり前」になってしまっていたのである。

STARBUCKS NOW
マクドナルド
バーガーキング
ケンタッキー・フライド・チキン

同じことは、アリババの「ニューリテール戦略」を実践する

スーパー「フーマフレッシュ」でも起きていた。

店舗を、リアル店舗として活用すると同時に

宅配ECの在庫置き場・ピッキング場所としても同時活用する点が

フーマ最大の特徴だ。

店内を専門スタッフが行き来して

客に交じって

宅配ECで注文された商品をピックアップしていく。

専用の袋に入れられて商品が揃うと、

店内の天井に設置された専用レールに乗せて

自動で裏の物流スペースに運ばれ、バイクで家庭まで届けられる。

こちらも、当然

フーマフレッシュの専売特許だと思っていた。

ところが、だ。

まったくちがう、昔から知っている食品スーパーに行くと

すでに、ほぼ同じサービスが実践されていた。

実際に、多くの宅配ECの注文が入っていた。

下の写真の通り

店内の天井のレールまでそっくりだ。

これを、日本で考えみてほしい。

(古くから存在する大企業から見たら「ぽっと出」の)

ベンチャーが始めた戦略を

大企業がすぐに取り入れて、キャッチアップする姿を想像できるだろうか。

それも、大きな投資を必要とする戦略である。

過去の成功体験にあぐらをかいている...

そして強力なベンチャーによるプレッシャーのない...

日本の大企業が、すぐにキャッチアップすることは、まず考えられない。

しかし

中国では、すぐにキャッチアップしなければ、

大企業はベンチャーにやられてしまう危機感を強く持っている。

だから、判断と実行の速度がこれだけ速いのである。

これは、中国ビジネスの強みであるし

中国の市場環境が、緊張感のある競争環境になっている証拠でもある。

同業他社や他業種の成功企業を常にベンチマークして

アンテナを高く張って、最新情報を把握しておく。

新しい動き、顧客に受け入れられて成功している戦略は

すぐに自社にも取り入れて、出遅れないようキャッチアップしていく。

あるいは、より良い戦略に手直しして、実践していく。

中国では、こうした動きが圧倒的に速い。

本当に、素直に感心するほどだ。

日本のヒトと組織は、素直に感心して、学び取らなければいけないはずだ。

ところが

実際には、日本のヒトと組織の大半は

中国のこうした実態を知ってすらいない。

この現状を、どう認識しているだろうか。

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