トレンドはつくる?つくられる?

マーケティング小話

ファッションの人気、流行り、トレンド。

その大半は、自然発生的なものというよりは、

企業や業界による作為的な「つくられたトレンド」であるのが実態だ。

10年前を思い出してみてほしい。

パツパツのスキニーパンツを身に付けている男なんてほとんどいなかったはずだ。

足にピッタリ張り付くようなパンツは、女性用のボトムスだった。

いい年をした大人が、ハーフパンツ(短パン)を着て銀座を歩くなんて想像もできなかった。

短パンは、子供用か、地元用(自宅用)だった。

10年前は、ダメージ加工のデニム、VネックのTシャツが流行っていたが

現在では、リジッド(加工なし)のデニム、クルーネック(丸首)の方が主流だろう。

これらはいずれも、企業(アパレル・ブランド)や

ファッション・メディア(主に雑誌)のマーケティング戦略による

「つくられたトレンド」だ。

誰かが狙って、作為的につくったトレンドだと思うと

その誰かの手のひらで踊らされているようで、どうにも居心地悪く感じてしまう。

「トレンドは巡る」などと言って、70年代、80年代の

ファッションを現在に持ち出す「トレンド」なんて

「ネタ不足で、楽をしてるだけじゃないの」と思いたくなるほどだ。

個人的には、こうした作為的で恣意的なトレンドは、追いかけたくない。

一方、ストレッチ素材は、少し前には、こんなに出回ってはいなかったように思う。

これに関しては、技術革新によるところが大きいのだろう。

ユニクロと東レによるオープン・イノベーションとして有名な

「ヒートテック」が切り開いた

『機能性衣料』というジャンルは、もはや定番化している。

こうした技術の発展、革新によって切り開かれたトレンドだと、

割と素直に「すごい!」と受け入れたくなる。

トレンドという意味では、

『HERO』でキムタクが着たBAPEのダウンジャケットだったり、

『踊る大捜査線』で織田裕二が着たモッズコートだったり、もある。

こうした特定のキーパーソンによる魅力にやられて、

消費者サイドが「かっこいい!」と、自然発生的にフォローしていくことで

生まれたトレンドは、なんとなく1番ピュアなものに感じる。

(たとえ、裏にスタイリストやブランドの思惑による

プロダクト・プレイスメントがあったとしても)

だが、「みんなが追いかけたくなるトレンド」は

着ていると「あ、それ○○のやつだよね」とレッテルを貼られて、

「ミーハーだね」と言われるような気がして…

本当は受け入れたいが、

意地を張ってしまって、受け入れたくないと思いがちだ。

どの「トレンド」も、突き詰めれば

広告戦略、技術開発、ブランディングなど

企業によって創られたものであることに変わりはないと言える。

しかし、その「創り方」によって、

受け入れたくなるトレンドと

距離を置きたくなるトレンドがあるように感じる。

その消費者心理を読み解くことは、

トレンドをより大きく、より長寿にするために

マーケターにとって実は重要なことだったりする。

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