アメリカによる中国への経済制裁が重ねられていっている。
歴史を振り返ってみても
かつてのバブル期の日本に対する、強制「円高ドル安」によるバブル崩壊のように
アメリカは、自身の世界トップの座が脅かされると、なりふり構わず潰しにかかる。
2018年から本格化した、中国に対する経済制裁の数々は
そうしなければ、中国に追い抜かれてしまうと、アメリカが自白しているようなものである。
アメリカは、ファーウェイが個人情報を政府に流していると糾弾しているが、
そんなことはアメリカの企業だって当然のごとく行っていることだ。
GAFAをはじめとするアメリカの主要企業は、
個人情報を軍・NSA・CIAなどに流していると
ずいぶん以前から内部告発されている(詳しくは映画『スノーデン』を参照)。
情報流出の良し悪しは、もちろん悪いが、それはお互い様である。
GDPを見ても、イノベーションを見ても
2019年時点の世界は「米中二強」であることは疑う余地がない。
猛ダッシュを続ける中国を、アメリカはかつての日本と同様に
蹴落とそうとしているが、果たして思い通りにいくだろうか。
私見としては、中国はもはやアメリカ一国に潰せる存在ではなくなっている。

中国は、「一帯一路」構想を進めており、ロシアや欧州各国、
東南アジアやアフリカの諸国たちと手を結び、「中国経済圏」を既に広げている。
だからこそ、アメリカのファーウェイ潰しに対して
イギリス、ドイツ、ロシア、およびアフリカ連合は同調せずに
ファーウェイとの協調路線維持を表明している。
(ファーウェイ/Huaweiは、韓国のサムスンに次ぐ、世界第2位のスマホ企業)
個別企業として集中砲火を受けているファーウェイでは、
危機感以上に、社員の士気が高まっているという。
ファーウェイの求人が実に中国らしく、イカしている。
「他社ならライバルは競合他社、我が社ならライバルはアメリカだ」
ファーウェイでは、アメリカという強大な敵に立ち向かうため
ハードとソフトの内製化を進めている。
アメリカが、中国企業に共通する明確な『敵』に改めてなったことは
成長をひと段落させていた中国ビジネスが、再点火する活力になる気さえする。
危機が、新たな起爆剤になる可能性は、決して小さくない。
中国には、世界最多となる14億人の人口がいる。
これは、日本の14倍、アメリカの4.5倍だ。
単純に考えて、優秀な人材が人口の5%だと仮定すれば
日本の優秀人材は500万人、アメリカは1500万人であるのに対して
中国には7000万人規模で存在することになるのだ。
日本もアメリカも、中国をまだまだ過小評価していると思えてならない。
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