キャッシュレスの最適解:「お得」か、「楽」か

マーケティング小話

日本は世界でも有数の『キャッシュレス後進国』である。

日本のキャッシュレス比率は20%程度であるのに対して

中国、韓国、アメリカ、欧州はおおむね50%を超えている。

どの国も、都心部と地方では差が大きいはずで

都心部でのキャッシュレス比率は、80~90%と言っていいだろう。

一方、日本は東京でさえ未だに現金主義が圧倒的に多い。

アメリカに駐在で行っている友人は

基本、スマホ、クレジットカード、念のため現金の札1枚

すべてスマホケースに入れて、仕事もプライベートも過ごすという。

財布を持ち歩くことはもうなくなったそうだ。

中国の知人は、2年前に遊びに行ったときから

すでに銀聯カード(中国のデビットカード)のみで現金はほぼ使っていなかったが

現在では、AlipayとWe Chat Payのどちらかで済ませるようになったという。

キャッシュレスが浸透した国の、ベースにあるのは

「(現金よりも)楽だから」である。

どこでも使えて、早くて、楽で、プラスお得で、良いことずくめだから使っている。

昨夜、ひさしぶりに松屋に行って驚いた。

ひとつは、店がセルフサービス方式になっていた点。

サービスエリアのフードコート方式、と言えばイメージしやすいだろう。

もうひとつは、主要な「PAY」を網羅していた点。

これは便利で、楽だ。

しかし、多くの店(コンビニ、スーパー、百貨店、専門店、etc)では

使用できる「PAY」がまちまちで、数種類に限定されてしまっている。

各PAYサービスが競い合い、

縄張り争いを繰り広げ、

ライバルPAYの参入を防ごうとしている結果だろう。

そして、クーポン配布、キャッシュバック、といった

期間限定・店舗限定のキャンペーン(ばらまき)合戦に明け暮れている。

現状、日本におけるキャッシュレス戦争は、

いかに「お得」か

の競争を繰り返している。

だから、消費者は

PayPayのキャッシュバック期間には、PayPayを使ってみる。

LINE PAYのキャッシュバック期間には、LINE PAYを使ってみる。

Origami payのキャンペーン期間には、試しにOrigami payも使ってみる。

しかし、いざ日常使いをしようとしてみると

使えない店だらけなことに気づき、

「めんどくさいな」と

キャンペーン期間だけの付き合いで、また現金主義に舞い戻ってしまっている。

要は、「楽」じゃないのだ。

店によって、キャンペーンによって、PAYを4つも5つも使い分けるなんて

面倒くさくて、ばからしくて、やってられないのだ。

日本のPAYは、「お得」に、「楽」が追いつけていない。

中国のAlipayもWe Chat Payも、たしかに

最初は「お得」を売りにして、キャッシュバックや純金プレゼントをしていた。

しかし、同時に「楽」の環境づくりを、尋常じゃない速度で進めていたからこそ

ユーザーの間にキャッシュレスを定着させることができた。

日本のPAY環境を見渡してみて、最も楽なのは

明らかに、インバウンド向けのAlipayとWe Chat Payだ。

どちらかを使えるようにすれば、まず間違いない。

中国人観光客向けに、どの業種も、どの店も、まず導入している。

だから、結論として

日本においても、1番「楽」なキャッシュレスは、AlipayかWe Chat Payだ。

ある意味、悲しい現実だが。

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